定年後の手続きは「自己責任」—知らなかったでは済まされない
会社員時代は、年金や税金、健康保険などの面倒な事務処理のすべてを会社が代行してくれていました。そのため、多くのサラリーマンにとって、あらゆる手続きは「お任せ」で済むのが当たり前だったはずです。しかし、定年後はその状況が一変します。
これからは、あらゆる公的な手続きをすべて自分自身で進めなければなりません。万が一忘れていたとしても、誰も教えてくれないのです。そればかりか、うっかり手続きを怠ると、ペナルティーや余計な手数料という名の「負債」を課されることすらあります。
たとえば、最もよくある失敗が「年金の請求手続き」です。
年金の請求手続き
年金は時期が来れば自動的に口座に振り込まれるもの、と思い込むのは非常に危険です。実際には自分から「請求手続き」を行わなければ、1円も振り込まれません。なかなか振込が始まらず、慌てて年金事務所に問い合わせて初めてその事実に気づく、という人が少なくないのです。
さらに、該当者であれば上乗せして受け取れるはずの「加給年金」などの家族手当のような制度も、自分で調べて能動的に請求しない限り、年金事務所側から親切に「あなた、これに該当していますよ」と教えてくれることは絶対にありません。 ネットを駆使して最安値の商品を探すように、公的な制度も自ら情報を取りに行き、スマートに権利を行使する姿勢が大切なのです。
iDeCoの加入トラブル
手続きの連動ミスによるトラブルも、定年後には頻発します。ここで編集部員が実際に体験した、知っていれば防げた「iDeCoの加入トラブル」の事例を紹介しましょう。
その部員は、学生時代に未加入だった国民年金保険料を「後納」し、特例を使ってiDeCo(個人型確定拠出年金)に加入しました。しかし、支払いが完了した後も、なぜか毎月の掛金が余分に引き落とされ続けてしまったのです。
原因を調べたところ、なんと国民年金の窓口とiDeCoの事務局はシステムが連動しておらず、自分で個別に「変更の届け出」を行う必要があったのです。さらに、余分に引き落とされたお金の返金手続きの際には、数千円の事務手数料まで差し引かれてしまいました。
まさに「仕組みを知らなかったこと」で、時間的なロスと金銭的な損失を同時に被ってしまった典型例です。
定年後に必要な心構え
定年後の生活とは、いわば「自己責任の時代」への移行に他なりません。家の中の不要なモノをすっきりさせて自分の大切な時間を守るように、面倒な手続きのルールもあらかじめスマートに把握しておく必要があります。
- 手続きはすべて自分で調べ、自分で動くことが基本
- 「知らなかった」では済まされず、うっかりミスには金銭的なペナルティーが伴う
- ただし、こちらから関係機関に問い合わせれば、多くの場合はとても丁寧に教えてもらえる
小さな疑問や違和感があれば、後回しにせず、公的機関の窓口やWebサイトを賢く使い倒して早めに確認する。古い常識をさっと捨て、主体的に自分の人生のタスクをコントロールしていくことこそが、トラブルのない快適なセカンドライフを送るための最高の必勝法なのです。
